探検ファクトリー 九州の甘口しょうゆが支える豊かな食文化:臼杵市の醤油工場探訪
九州の甘口しょうゆの魅力に迫る
臼杵市と醤油の深い関係
歴史的背景
臼杵市は、日本でも屈指の醤油生産地として知られています。江戸時代から明治時代にかけて、多くの醤油や味噌の老舗メーカーが創業し、現在もその伝統が受け継がれています。
地理的条件と醤油醸造の発展
臼杵市は、豊後水道に面した立地で水源が豊富であり、大豆や小麦の栽培に適した土地です。この地理的条件が、醤油醸造の発展を後押ししました。また、港があるため、船舶による輸送が容易で販路拡大に大きな利点となりました。
甘口しょうゆの製造工程
原材料と製造方法
甘口しょうゆの主な原材料は、大豆、小麦、食塩です。製造方法には以下の3つがあります。
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本醸造:蒸した大豆と炒った小麦を混ぜ、種麹を加えて発酵・熟成させる。
九州の醤油が甘い理由
九州の気候は温暖で、人々の甘味嗜好が強いことが影響しています。江戸時代にはオランダとの貿易で砂糖が広まり、甘口の醤油が生まれました。九州の醤油メーカーでは砂糖やステビアを多く使用し、特有の甘味を醸し出しています。
臼杵市の主要醤油メーカー
可兒醤油
慶長5(1600)年に創業し、大分県最古の味噌醤油メーカーとして知られています。長い歴史の中で培われた技術と伝統が特徴です。
フンドーキン醤油
文久元(1861)年に創業し、九州最大の醤油、味噌、ドレッシングメーカーとして成長しました。創業者の名前と分銅から名付けられた「フンドーキン」は、地域に根ざした製品を提供し続けています。
富士甚醤油
明治16(1883)年に創業し、「安心を、いただきます」をスローガンに掲げ、焼肉のたれ、めんつゆ、ドレッシングなどを九州全域で販売しています。
醤油の種類と用途
醤油の種類
JAS規格では、醤油は以下の5種類に分類されています。
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こいくち(濃口):大豆と小麦が1:1。調理用・食卓用。
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うすくち(淡口):濃口より食塩水の濃度が高い。煮物用。
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たまり(溜り):大豆主体で小麦は少量。照り焼き、佃煮用。
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さいしこみ(再仕込み):生揚げしょうゆで仕込む。食卓用。
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しろ(白):小麦主体で大豆は少量。吸い物、茶碗蒸し用。
醤油の用途
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こいくち:万能タイプで、煮物や炒め物、刺身に使用。
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うすくち:色を抑えたい煮物や吸い物に最適。
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たまり:照り焼きや佃煮に使われ、濃厚な風味が特徴。
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さいしこみ:食卓用として、そのままかけて楽しむ。
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しろ:色を抑えたい料理、特に茶碗蒸しや吸い物に使用。
まとめ
臼杵市の甘口しょうゆは、九州特有の気候風土と歴史に根ざした独自の製品です。その製造過程や背景を知ることで、九州の食文化の奥深さを再認識することができます。臼杵を訪れた際には、ぜひ地元の醤油メーカーを巡り、その味を堪能してみてください。